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【レポート】キッズリノベーションスクール@シーナタウン

●史上初!子どものためのリノベーションスクール

リノベーションまちづくりの本質を実践的に学ぶ「リノベーションスクール」。2011年に北九州市で初めて開催されて以来、現在では年間30本ものスクールが全国各地で行われています。

2016年8月2〜4日に豊島区で開催されたのは、史上初!子どものためのリノベーションスクール。子ども向けと思ってあなどるなかれ。大人と同じく2泊3日(※北九州は3泊4日)の合宿形式で、プログラム内容こそ違うものの「実践を通じて学ぶ」点も本家リノベーションスクールと変わりません。

●商店街でのリノベーションスクール

開催地は、豊島区長崎の「椎名町駅」。池袋駅から西武池袋線で1駅という都会のど真ん中ながら、駅前には今も下町風情あふれる商店街が息づいています。

スクール会場は、2015年のリノベーションスクール@豊島区で受講生の提案から生まれたゲストハウス『シーナと一平』。もとは「とんかつ一平」という、地域の人たちに親しまれてきた木造二階建ての住居兼店舗でした。

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初日。シーナと一平に小学1年生〜中学2年生まで全11名の受講生たちが集まってきました。大半は首都圏在住ですが、なかにははるばる大阪や岡山からやってきた子も!

1日目:商店街を探検し、まちを知る

2日目:自分たちで商売をし、お金をかせぐ

3日目:体験したこと・発見したことをまとめ、発表する

3日間で子どもたちは体験や学びをスケッチブックにまとめ、振り返りをします。スクールに参加すれば自動的に「夏休みの自由研究、一丁上がり!」という点も、親御さんには嬉しいポイントです。

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●お店の人にインタビュー!まちを知ろう

まずはオープニングアクトからスタート。青木純校長先生から開校の挨拶、『シーナと一平』女将のエモさんこと江本珠理さんから椎名町の紹介、最後は私・石神もまちを探検する心構えについてレクチャーしました。

ユニットごとに分かれ、いよいよ椎名町の商店街へ繰り出します。小さな商店街ですが、自転車やバイク・車の通行は多め。安全確保と誘導のため、各ユニットごとに複数のユニットマスターとスタッフが引率します。

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商店街の方たちは、とても親切。街角のお肉屋さんが“美味しいお肉の見分け方”を教えてくれたり、クリーニング屋さんが奥の作業場に招き入れて業務用マシンを見せてくれたり、お惣菜屋さんが芋の天ぷら(端っこ)を全員にサービスしてくれたり。これも『シーナと一平』の皆さんが、事前に何度もご挨拶に通ってくれたおかげです。

●体験的に学ぶ「お金と価値」

芋の天ぷらを晩のおかずとして購入した子どもたちに、ユニットマスターの大島芳彦さんが問いかけます。「みんな、おまけしてもらって嬉しかったよね。嬉しくて、思わず買っちゃったんだよね?」。街歩き体験から学んだことが、翌日には「今度は自分で商売をする」という実践につながっていく仕掛けです。

パン屋さん、時計屋さん、まぐろ専門店、傘屋、人形焼屋……椎名町の商店街には、今では珍しくなった個人商店が数多く残っています。何軒もお店を回るうち「一日に何人くらいお客さんが来ますか」「一番売れるのはどれですか」など、子どもたちの質問も本格的に。「こんにちは」「ありがとうございました」の挨拶も上手にできるようになってきました。

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リサーチ後のお楽しみは、お待ちかねのおやつタイム。「ひとり350円まで!」という予算の中で、一人ひとり自分で選びます。スーパーで数十円単位の駄菓子をたくさん買い込む子もいれば、街のパン屋さんでひとつだけケーキを買う子も。選ぶ自由と同時に真剣に悩むことを通じて、一人ひとりが”お金と価値”に向き合う機会になった様子。

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おやつを食べつつ、今日見たもの・知ったことをスケッチブックにまとめ、発表。夕食は再び商店街で「ひとり800円まで」という予算でおかずを買い集め、初日のプログラム、無事終了!

●力を合わせて!初めての共同生活

今回、子どもたちは親元を離れて共同生活します。食器洗いなど危ない作業を除き、食事の配膳や片付け、布団の上げ下ろしまで、大人たちに教わりながら子どもたち自身が協力して行います。

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夕食のあとは、地元の銭湯へ。出発前には大島さんが紙芝居「銭湯・お風呂マナー」を熱演(?)。現代っ子の子どもたち、お友達と入る大きなお風呂に大興奮だったようですが、おかげでマナーは守れた様子。お風呂上がりのサイダーもしっかり飲んで、歯磨きを済ませて就寝準備万端。

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……のはずが、興奮と不安でなかなか寝付けません。内緒話やふざけ合いが止まらない子もいれば、お家が恋しくなってしくしく泣き出す子も。子どものケアをよく知る現役の小学校の先生や看護師がスタッフとして参加していたおかげで、何とか脱落者なく乗り切れました。こんな場面も、キッズリノベーションスクールならでは。

●自分たちで商売を組み立てる

2日目は、いよいよ自分たちで商売を体験します。商品はそれぞれ、ユニットAが飴とアイシングクッキー、ユニットBはかき氷。どちらも椎名町で長く営まれてきたお店の商品です。売るものは決まっているとはいえ、「仕入れ」「原価計算と価格設定」「売り方の工夫」「販売」まで、すべて子どもたち自身が考え、力を合わせて行います。

我がユニットBの担当はかき氷。まずは氷の仕入れのため『小村氷室』さんへ。レトロな「氷」の文字看板が印象的な明治時代の建物。亡くなったご主人と共に数十年以上も氷屋を営んできた奥様が、木製の冷蔵庫を見せてくれました。ここの氷は天然水と水道水の混合。天然水だけだと、凍るのに時間が掛かるからだそうです。ふむふむ。

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お次はシロップを仕入れるため、スーパーへ。「いくらで売ろう?」という会話から、市販のかき氷シロップに何かを加え(付加価値!)、高く売る工夫をすることにした子どもたち。チョコチップや粉砂糖、ジャム等を見比べながら「スプーン一杯あたり、15円として……」と原価計算も怠りません。最終的には、コストパフォーマンスの高い大瓶のいちごジャムを購入。

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●どうしたら売れる?価格設定から広告まで

『シーナと一平』に戻り、すべての原価を計算して価格を決めます。手動かき氷機は子どもたちでは操作できないため、代わりに操作する『シーナと一平』スタッフの人件費も原価に計上。今回は150円でシロップは何種類でもリクエストOK(全3種類)、ジャムあり・なしも選べることにしました。商品名はアイディアを出し合い「ジャムスノー」に決定。宣伝用に、お手製のチラシも作成します。

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お次は販売準備。紙皿に絵を描いてデザインするグループと、ポップを書くグループに分かれます。ポップの書き方含め売り方を指南するのは「店長」こと、こだわり商店の安井浩和さん。紙皿もポップも、それぞれの個性が炸裂した素敵な出来栄えになりました。

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手作りチラシを持って、昨日お世話になったお店を回ります。「今日かき氷屋さんをやるので、よかったら来て下さい!」皆さん「がんばってね〜」とニコニコ。自分はお店を離れられないからと、店先に貼り出してくれる店主さんもいました。

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仕上げは、商品の試食。「自分たちで食べてみないと、なんて言って売ればいいのか分からないでしょ!」とは安井さんの教え。そのままジャムを乗っけてみると、悪くはないが今ひとつ。ところがお湯といちごシロップで溶きのばしてから掛けてみると……なんだか、とっても高級感のある味わいに!これはお客さんにも喜んでもらえそうです。

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お店を開くのは『シーナと一平』の軒先。建物の外側には、お手製のポップをたくさん貼って、道行く人にアピール。さあ、いよいよ開店です。

●いよいよ開店!完売なるか?

営業は、たった一時間。開店まもなく、商店街の方が買いに来てくれました。最初は戸惑ったりはにかんだりしていた子どもたちも「もっと元気よく、大きな声で!」という安井店長の激に押されて、だんだんと大きな声が出るように。

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それにつられたように、足を止める通りがかりの人や、飛び込みのお客さんも増えていきます。小さな子どもからおばあちゃんまで、気がつけば店内は満席に。無事、時間内に49杯(紙皿をひとつ汚損したため)を完売、合計7,350円を売り上げることができました。

ちなみにユニットAは商店街の軒先をお借りし、クッキー250円と飴150円で出店。自らカゴを持って道行く人にアピールする奮闘ぶりで、合計18,150円を売り上げました。

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夕食は、地元で20年以上続くお好み焼き『ふくふく』さんへ。当初は焼きそばだけの予定でしたが、青木校長から「売上目標を達成したご褒美に、好きなものを注文していいよ!」とサプライズが。自分たちの稼いだお金で、もんじゃをつつきながらサイダーで乾杯する子どもたち。なんだか、とてもかっこよく見えました。

●自分たちでやってみたから見えたこと

一夜明けて、最終日。この3日間で発見したことをスケッチブックにまとめます。ほとんどの子たちが時間ギリギリまで一生懸命、書き込んでいました。

そして、最後の発表。親御さんたちも集まり、一人ひとりの発表を見守ります。商店街を歩いて何に気がついたか、商品を売るためにどんな工夫をしたか、何が楽しかったか、嬉しかったか。

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お客さんから「こんなの値段を下げなきゃ売れないよ」と言われても、作ってくれた人のためと、値段を下げずに一生懸命売り切った子もいました。「目が死んでいる人は買ってくれない。目がイキイキしている人は買ってくれる」なんて鋭い分析もありました。

●子どもだってまちの担い手!

スクールを修了してそれぞれの家に帰ってからも、「またあのお店に行きたい!」と家族と一緒に椎名町を訪れてくれた子。「椎名町はこうだったけど、うちの近所の商店街はこうだね」なんて話すようになった子。

子どもたちにとって椎名町が、そして自分のまちが「自分ごと」になったことを実感できたキッズリノベーションスクール。3日間を通じて子どもたちが「自分で考えて生きる力」をぐんぐん開花させていく姿を見せてもらい、改めて、仕事(商売)って楽しい!まちに関わるって面白い!と教えてもらいました。

学校では教えてくれないことを学べる、まちという学校。これから本家リノベーションスクール以上に、全国へと広がっていくかもしれません。来年の夏休みも、楽しみです。

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写真提供:株式会社リノベリング
文:石神夏希

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